大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」p198

 木の枝に白き茸や七五三


 近くの白山神社は、七五三の親子で賑わっていた。袴姿の男の子も大人びて素敵だし、千歳飴をさげた女の子が氏神さまに参詣する姿も可愛らしい。さそく句に詠んだが何となく満足できない。句材を探し神社を歩いていると木の枝に白い茸が! 枝にびっしり生えた白い茸の家族はつかのまの冬の日を浴びて団欒を楽しんでいるように見えた。いや、茸一家のちびっ子の七五三の祝をしているようにも見えた。詠みたいものに出会えた瞬間だった。 (『清涼』)