2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

綴じ込みページ 猫-245

うちの炬燵は、夏場はテーブルになるタイプだけれど、ぼくはだんだん横着になって、いちいち布団をたたまなくなった。週一回の掃除のとき以外は、敷きっぱなしである。ただし、夏場は、薄物の上掛けだけれど。 自分が、なんだか坂口安吾のようで、なんなら無…

綴じ込みページ 猫-244

ミーヤがぼくのところにくることが決まってから、一夜漬けの勉強がはじまった。一夜漬けは、高校生の頃から得意である。切羽詰まると神経が研ぎ澄まされて、無駄なことが的確に判断できるようになる。無理なく、無駄なく、必要なことだけ選択するわけである…

綴じ込みページ 猫-243

四月二日がくると、ミーヤは十歳になる。人間の齢に換算すると五十六歳だそうだ。パパのところにきたときは四歳で、人間の齢でいったら三十二歳。それからすぐに五歳になって、一気に三十六歳になったわけか。ずいぶん元気なお嬢さんで、部屋中を跳びはねて…

綴じ込みページ 猫-242

パパが気持よく眠っているとき、ミーヤは背中をトントンて叩くよね。あれは、パパに上を向いて寝ろ、といってるんだよね。で、パパがからだを上向きに変えると、同時にパパのお腹にのっかってくるわけだ。最初はパパの顔をのぞきこむようにしているけど、す…

綴じ込みページ 猫-241

ミーヤと暮らすようになって、猫は、いったい、どこを触られるといやがるのか、ずいぶん煩悶した。いやがることをして、嫌われたくないからだ。 もと同僚の有金君は、スコティッシュフォールドという品種の猫を飼っているが、「性格は優しく温和、甘えん坊で…