2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

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吉行淳之介が内田百間のビラについて書いた文章が見つかった。 潮出版社から刊行された編年体のエッセイ集シリーズが吉行にはあって、その一冊「甲羅に似せて わが文学生活 1971〜1973」のなかの「前言訂正」という「週刊読書人」に連載されたエッセイに書か…

綴じ込みページ 猫-68

Amazonから届いた「新輯内田百間全集」の第32巻は、帯と月報が欠けていたが、箱も本体も、それから中面も、とてもきれいだった。駿河台下の古書店から全巻配送されるのは、週末である。あのコバにしみのある本も、いっしょにやってくる。 で、その日が来た。…

綴じ込みページ 猫-67

すこし前なら、と書いた。そのすこし前がいつごろなのか、すでに曖昧である。だいいち、吉行淳之介が「平成元年になって、福武書店から刊行になっている『内田百間全集』が、完結した」と書いているのを引用しながら、「えっ」と吉行ではないが、おもわず声…

綴じ込みページ 猫-66

吉行淳之介「百間の喘息」から引用する。 上京したあと、内田百間は昭和十二年に牛込市市谷仲之町から、麹町区土手三番町三七番地に転居した。私は昭和三年から同区土手三番町一九番地に住んでいた。十九年だったか、町名表記が変り、土手三番町は五番町にな…

綴じ込みページ 猫-65

平凡社の「作家の猫」から。 「今一度 迷ひ猫についてのお願ひ」と見出しのついたチラシが扉のページに載っている。この章は、「内田百間とノラ、クルツ」。「尻尾曲がりの虎ブチ失踪! 泣いて、捜して、十三年」とサブタイトルがついている。 チラシには、…