2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

綴じ込みページ 猫-178

石川淳の「五十音図について」も、そろそろ終りである。 「今の世、萬葉風をよむ輩は、後世の歌をば、ひたすらあしきやうに、いひ破れども、そは實によきあしきを、よくこころみ、深く味ひしりて、然いふにはあらず。ただ一わたりの理にまかせて、萬ツの事古…

綴じ込みページ 猫-177

石川淳「五十音図について」のつづき。 この月報の狭い場所では、わたしはかなづかいひについて仔細に説くことができない。ただ一言いつておく。新カナがいけないといふのは、なによりもそれが不便だからである。新カナに依れば、すなはち五十音図に反すれば…

綴じ込みページ 猫-176

石川淳の「五十音図について」は、くどいようだが正字正仮名である。 宣長のかずかずの仕事の中でも、於乎の所属を決定して、五十音図の完全な形式をたたき出したことは、国語学上たぐひなき功績である。この功績は過去のことではない。今日じつに然り。見よ…

綴じ込みページ 猫-175

岩波書店版「石川淳選集」第十四巻に「五十音図について」という文章が収録されている。もちろん、本文は正字正仮名である。 冒頭に、本居宣長の「うひ山ふみ(ソ)」が掲げてある。 五十音のとりさばき云々。これはいはゆる仮字反シの法、音の竪横の通用の…

綴じ込みページ 猫-174

一九六七年に、四人の文学者が連名で共同声明を発表した。「文化大革命に関し、学問芸術の自立性を擁護するアピール」というのがそれである。四人とは、川端康成、三島由紀夫、安部公房、そして石川淳だった。 ぼくは、まだ、石川淳を読んでいなかったから、…

号外 定年プラスワン-2

某日、銀座の天廚菜館で食事会があった。古矢元顧問の傘寿のお祝いと社員の慰労を兼ねて、山城社長がポケットマネーでご馳走してくれたのである。古矢元顧問は相変らずエネルギーのかたまりのようであり、夫人はチャーミングだった。 会の終わりに、まず、今…

号外 定年プラスワン

先日の句会で、ぼくは「愉しみは猫と俳句と墓参」という句を提出した。案の定、採ってくれたのは、あまり先生ひとりだけだった。ま、極私的な内容だから無理もないけれど。 ぼくは、うっかりしていたが、気がついたらジジイになっていた。おもうに、浦島太郎…