2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ゴムの木 4

大松さんが、ときどきフェリー部にやってきて、女性たちのあいだにすわり、おしゃべりするようになりました。そんなとき、いっしょにいるぼくのほうをちろっと見ます。 予約受付けの電話は、大きな丸いテーブルのまん中あたりに5~6台セットしてあり、テーブ…

ゴムの木 3

フェリー部には、3人の女性がいました。仮にブー、フー、ウーと呼ぶことにします。 矢吹部長は、「フェリー部の品格を落としているのはあの3人だ」と女性たちがいないとき、椅子の背もたれによりかかって、苦々しそうにいいました。「まったく、よりにもよっ…

ゴムの木 2

京橋にあった商船三井の支社は、客船の営業部と総務部、それからフェリー部から成り立っていました。地階に総務部があって、1階の奥に営業部、道路側の入り口に近いところにフェリー部がありました。 安田さんは、すぐにぼくをつれてフェリー部に行きました…

ゴムの木 1

昭和48年6月20日第1刷発行、と奥付にあります。「庄野潤三全集」全10巻の第1回配本第1巻は、ぼくが最初の大学を途中で(4年通って)やめて、もう1度1年生からやりなおしはじめた年に講談社から刊行が開始されました。 それまでに読んだ庄野潤三の作品は、筑…

正月休み

ぼくがフジヤ・マツムラに入社したころは、暮は31日の大晦日まで営業して、新年は5日まで正月休みでした。6日は顔合わせですが、もう通常通り営業します。朝礼で社長の挨拶が終ると、ぼくたちペーペーはすぐに挨拶回りに出かけました(註、2005-01-23「五味…