2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

鉄塔 武蔵野線3

「鉄塔 武蔵野線」の作者、銀林みのる氏からの手紙は、誠意あふれるものでした。武蔵野線の鉄塔番号が、小説発表後に3分割されて変更されたこと。変電所の名称が仏教の聖地に由来していること。二人の少年が「原子力発電所」という一種の「他界」を目指し、…

鉄塔 武蔵野線2

鉄塔を見に行く前のことですが、ちょうどかよっていた銀座のM歯科の待合室にあった「日本の地理」という本に、武蔵野の10年前の風景写真が載っているのを眼にしました。そこには鉄塔が、長く送電線を引いて、遠くまで点在している姿がありました。それは、ぼ…

鉄塔 武蔵野線 その1

正兼様は、もう90歳をこえたおばあちゃんですが、聡明で、好奇心が強く、博学で、趣味は旅行と絵画の収集、それに本をこよなく愛しています。応接間の椅子に腰をおろして、壁に掛かった絵(美術館か画集のなかでしかお目にかかったことのない絵です)を眺め…

井上靖さんと詩集

その小さなおばあさんがよちよちと店に入ってこられたとき、ぼくは森茉莉さんかとおもった。チャーミングで、可愛らしくて、ヴィヴィッドで、つい手をさしのべたくなるような、そんな方が入ってみえたのだ。森茉莉さんを知っているわけではないが、「贅沢貧…

ローマイヤのハム

柿の時期で祝日だったから、9月か10月だったのだろう。休日出勤は、夜の勤務に準じて、3人編成だった。食事は、ひとり30分ずつにして、ひととおり終ると、また順に30分ずつ休憩する。1時間ずつ取っても同じことだが、そうすると3番目の人が、昼食…