2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

綴じ込みページ 猫-152

爪を切られたのが気に入らない、とミーヤはいいはしなかった。しかし、あきらかに腹を立てた様子で、朝、ぼくの胸にのっかってこなくなった。 しばらくぶりで、シャツ職人の市川さんに会った。市川さんは元気で、会わないうちに白内障の手術をすませていた。…

綴じ込みページ 猫-151

ミーヤは、毎朝、ぼくが起きるころになると、胸かお腹にのってくる。ある日、目をひらいたら、胸にすわったミーヤが、じっと上からぼくの顔をのぞきこんでいたことがある。猫は、ああいうとき、なにを考えているのだろう。 先日、句会のお仲間の尚さんが、気…

綴じ込みページ 猫-150

ミーヤの首輪がよれよれになったので、買い替えることにした。こんどは、麻の首輪にした。 俳句に「白服」という夏の季題がある。山本健吉編「最新俳句歳時記(夏)」(文春文庫)には、「真夏は、麻・セル地などの白服を着ることが多い。白装。」とある。 …

綴じ込みページ 猫-149

電車とバスを乗り継いで、カミサンの墓参りに行ってきた。 炎天下、墓石を洗い、花を生けた。夏の日向では、花は何日も保たないないだろう。 洗ったばかりの石の表面は、すぐに乾いてしまう。石段の隅にちびたローソクを立てて、マッチで火をつけるが、いざ…

綴じ込みページ 猫-148

先日、日の出桟橋から浅草まで、水上バスというものに乗ってみた。 つぎの句会の兼題のひとつに「遊船」というのが出たので、試しに乗ってみようということになったのである。 結果として、水上バスでの一時間ほどの旅は、おもっていた以上に楽しかった。東…