2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

指輪 12

「あのな、タカシマはん」 古井豆奴様から電話がきた。 「こないだ、分けてもろた指輪ありますやんか」 「はい」 「あれな、パーティでしてましたんどす」 「ええ」 「あれって、あめ玉半分に割ったような形してますやろ」 「そうですね」 「そんでな、その…

指輪 11

古井豆奴様は、結局、翡翠のほうを選ばれた。ふたつで百万円などと恐ろしいことをおっしゃったが、「そんなん、本気と違いますがな、ホホホ」と笑った。 リングのサイズが大きすぎたので、指にあわせて直すことになった。東京に帰って、指輪を修理に出して待…

指輪 10

有金君といっしょに京都に自動車外商に行ったとき(2006-01-15「有金君 その1」参照)、じつは豆奴様のお姉様、駄々茶様(仮名)のお店に寄っていた。有金君が、ちょっと行ってみましょうよ、といったからである。 駄々茶様は、バーを経営していた。もう芸者…

指輪 9

祇園の芸者衆のひとり、古井豆奴(仮名)様に、「なるたけ大きな宝石のついた指輪がほしいのどすけど」といわれた。京都高島屋で展示会をしたときのことだ。 「予算は百万円くらいかなあ」と豆奴さまはバッグのなかから甘露飴を取り出して、「これくらいの大…

指輪 8

A氏の奥様は、車のドアで指を挟みました。車中で夫と喧嘩になって、プンプンしながらドアを閉めたところ、うっかり反対側の手を抜く前に閉まってしまったのです。左ハンドルの車の助手席に乗っていたので、挟んだのは左手でした。相当強く挟んだので、薬指に…