2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

銀座百点 号外99

訂正した題名は記憶していないが、元のものは「スキャンダルの女たち」というもので、女を主人公としたトラブルを四つ(三つだったかもしれない)集めた特集記事であった。それを見て、私ははじめて怒りを感じた。残りの記事は、すべて犯罪に関係のあるもの…

銀座百点 号外98

・・・私の作品の載った「群像」が発売になって一カ月近く経ったある日、「週刊××」(註:原文には実名で出ているが、作者はその後和解しているので、匿名にします)の編集者であり友人である高原紀一が、困った顔でやってきた。私の作品を下敷にして、M・M…

銀座百点 号外97

この作品を書いたことによって、いろいろのことが起った。まず、文芸時評の大部分によってけなされ、わずかの人によって強く褒められた。ふやけたノロケ小説という評もあったが、やがてこの作品が余計な雑音から独立して読まれる時期がきたならば、そういう…

銀座百点 号外96

「私の文学放浪」を見てみる。 百七十五枚の作品「闇のなの祝祭」を書くために、私は七カ月かかり、同じ枚数以上の原稿を破棄した。私の場合、沢山の原稿用紙を使ったことはすこしも自慢にならぬので、内容と形式の喰違いとか、材料の選択の間違いとか、抽象…

銀座百点 号外95

「ある設定」というエッセイを見てみよう。 私は、近頃また持病のゼンソクが悪化しはじめた。こうなってくると、座右にいつも置かなくてはならぬものが、一つ殖えることになる。 それは薬液を霧状に変えて、気管支の中に吹きこむ器械だ。 (中略) ふっと、…