銀座百点 号外99

 訂正した題名は記憶していないが、元のものは「スキャンダルの女たち」というもので、女を主人公としたトラブルを四つ(三つだったかもしれない)集めた特集記事であった。それを見て、私ははじめて怒りを感じた。残りの記事は、すべて犯罪に関係のあるものだったからである。
 転んでもただでは起きないのが作家としても心構えだ、と私はおもっているから、この記事を受け止めることができるのだが、M・MおよびHは立場が立場だけに実害を受けた。余計なことを書いてしまったかな、ともおもった。「大義親を滅す」という心境には、あまりなれなかった。私自身は、終始かなり平静を保っていたつもりでいたのだが、気が付いてみると、五十円硬貨大の神経性のハゲができていた。
(「私の文学放浪」)