2004-11-01から1ヶ月間の記事一覧

銀座の歯医者さん

銀座のM歯科は、三笠会館のむかいにありました。ビルの3階で、古いエレベーターにのってあがると、すぐ共同トイレがあります。砂糖部長がむかし、歯の治療にかよっていたとき、おかあさんのほうの先生が担当でした。ある日、なぜか水道の出がわるくて、洗お…

山口先生と私

アンクル・トリスのアニメーションが、むかし、テレビのコマーシャルで流れていたのを、おぼえていますか? 浪曲調だったり、ウエスタンだったり、町内のおじさんバージョンだったりしました。 サラリーマンのアンクル・トリスが仕事をおえて、同僚と会社を…

山口瞳さん

ある日(といっても、30年前のことですが)、矢村海彦君が、本とりかえっこしょう、といいました。なんだか気持のわるい申し出です。 ぼくは、本を買うとき、いちばんきれいなやつを選びます。 もちろん初版で、帯もちゃんとしていて、汚れていないものを…

吉行さんの黒いシャツ

「ユリイカ 詩と批評」11月号は、「吉行淳之介特集」です。もっとも、これは昭和56年11月発行ですから、古本屋でさがすしかありません。村松友視氏との対話「背広を着た『厄介』」が載っており、写真が添えられています。服装に話がおよんで、村松さん…

吉行先生とキョーフ

吉行淳之介先生に「恐・恐・恐怖対談」(昭和57年2月20日発行 新潮社)という対談集があります。「キョ、キョ、キョーフ、と口ごもり吃るところがミソである」と「あとがき」に書いておられますが、「恐怖対談」「恐怖・恐怖対談」とシリーズがつづいて…

吉行さんとコート

ある日、にこにこしながら、ドアをあけて吉行さんがはいってこられた。わきの下に、箱をかかえている。白地に赤い線のフジヤ・マツムラの箱だった。 山口さんからプレゼントされたんですが、と吉行さんはふたをあけて、なかから黒いスポーツシャツをとりだし…