2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

大木あまり「句集 山の夢」『かき氷』

かき氷 一九七二年〜一九七五年 父よ母よゆすら実赤し和解欲る 陽気さが母を支へて木槿咲く 赤のまんま働かぬ日は天使貌 黄葉を浴びぬ飛びたき石蛙 枯葉飛行風はその日の演出家 命のごと拾ひぬ母の木の葉髪 花として散らすポプコーン鴨を呼ぶ 双子座に恋くる…

大木あまり著作集一覧

大木あまり先生は、すでに文学史上の人物だから、大木あまりと呼ぶ。その大木あまりの著書は、多くは絶版になっており、入手がむつかしい。俳句の作品集は、それでなくても発行部数がすくないから、見つけるのはなかなか困難である。さいわい、飛行船はぜん…

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数学の脇坂先生は、60年安保のとき、バリバリの学生運動家だったらしい。デモシカ教師という言葉があるが、たぶん、教師以外の道は閉ざされて、教師にしかなれなかったのだろう。職員室の自分の机に、新刊のマルクス全集を積み上げていたが、ぼくにはイミテ…

綴じ込みページ 猫-259

高校生の頃、深夜のラジオ番組を聞きながら勉強することがよくあった。ある晩、その日は永六輔がパーソナリティをつとめていたが、これからぼくの好きな俳句を読みます、と断って、山頭火の句を読みはじめた。ぼくはぼんやりと聞いていたが、途中ではっとし…