大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P200

 終戦の日は四歳で泣き虫で


 終戦の日から、小学生の長姉は一家の柱のような存在だった。長じてからも、もの静かだが理論家。しかし思ったことは即、実行する彼女は、ロマンチストで夢追い人? ばかりの家族をまとめ、あらゆる面で支えてきた。
 長姉は、私が四歳の時から保護者的存在で事あるごとに守ってくれた。美大生のとき、私が愛のカンパを! と言って両手を差し出すと、「私は動くお財布ではありません。お金が必要なら働きなさい」と姉に叱られたことがあった。大姉の叱咤激励もなんのその、いまだにお年玉を頂いている。 (『清涼』)