2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

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高柳重信「大政奉還の説・再説」のつづき。 したがって、三鬼が、あの大政奉還の説の中で、すべての専門家は、この際、俳句を大衆の手に返還せよと発言したとき、そこで、彼が真に指摘したかったことは、その恥しらずに思いあがった、凡庸なる自称専門家の追…

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高柳重信の「大政奉還の説・再説」を見てみよう。西東三鬼の憤懣とやりきれなさは、ぼくの俳句の先生にも、相通ずるものがあるようにおもう。 もう随分としばらく前に、いまは亡き西東三鬼が、いわゆる大政奉還の説というものを発表したことがあった。しかし…

綴じ込みページ 猫-256

高柳重信「俳壇八つ当り」のさわりをもうすこし。 だから、僕は、あの往復書簡の中で「問いが発せられたら、それに対して答えることは、それはたしかに必要なことです。しかし、あらゆる問に必ず答えなければならぬとしたら、一体、これはどうなるのでしょう…

綴じ込みページ 猫-255

高柳重信という人は、ずいぶんあっちこっちで喧嘩したようである。「俳壇八つ当り」でもその片鱗が見える。むかしはぼくも喧嘩っぱやかった口で、すぐにむかっ腹を立てていたが、最近は、というか、中年を過ぎてから非常に温厚になった。たぶん、怒るにはエ…

綴じ込みページ 猫-254

高柳重信全集第三巻の「俳壇八つ当り」をのぞいてみる。高柳の評論が、だんだんおもしろくなってきた。 「俳句評論」創刊号に寄せた神田秀夫の文章の末尾の一行にふれて、高柳は「この一行こそ、ここ数十年、僕が久しく俳壇に待望してやまなかったものであっ…

綴じ込みページ 猫-253

「さて、僕の思うところに従えば、日頃、僕の書く俳句作品と異なる俳壇の諸作品は、一言にして断ずれば、ことごとく俳壇に横行する迷信の所産に他ならぬ。」 高柳重信の「俳壇迷信論」の一節である。要点だけ挙げると、 「まず、あの一行書きの俳句。なぜ、…

綴じ込みページ 猫-252

連休になったらやろう、と自分に言い訳してずっと怠っていた小庭の草むしりと植木の手入れが、ようやく終わった。勢い余って、これから咲く(中心にピンク色を抱く、プロスペリティという名の)白薔薇の伸びすぎた枝をバサバサ落としたら、ほとんど坊主にな…

綴じ込みページ 猫-251

そらきた、と警戒する向きもあるだろうが、せっかくだから(なにがせっかくなものか)俳句帖にしたためた三十五句をあらためて並べてみる。題簽は「飛行船 猫句抄」。つつがなきや。 のどかさや頬にふれたる猫のひげ 三毛なればミーヤと名づけん春の雪 足に…