2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」 P14

雪踏んで光源氏の猫帰る 猫の恋がはじまるのは、早春。雌を求めてさまよう雄猫の鳴き声を聞くと春の足音を感じる。 この句の光源氏は、以前飼っていた海丸という美形の雄猫。雌猫と見れば追いかけて求愛する。夜遊びばかりして、朝帰りはいつものこと。雪の…

大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P12

星屑の冷めたさに似て菊膾 菊膾を食べていて、星屑ってこのように冷たいのではないか、と思った。直感で作ることが多かったので、即、句にした。 今なら、直感だけに頼らずよく観察して句作する。第一、星屑に触れたこともないのだから実感がない。しかも思…

大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P10

大姉も小姉も細身十月野 姉のいない人には、「姉さんが二人もいていいなあ」とうらやましがられる。中学を卒業してから、進学したくないとごねる私を高校に行かせ、絵に興味を持たせてくれたのは姉たちである。優等生の二人は、父母から期待されて大変だった…

大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P8

風の町すみれ嗅ぐにも父似の鼻 幼い頃、「お父様に似ていますね」と言われると、とっさに両手で鼻を隠したそうだ。隠すくらいだから、気にいっていなかったのだろう。幼い頃は、自分の容貌についてあまり気にしないものだが、思春期になるとそうはいかない。…

大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P6

かき氷さくさく減らし同世代 かき氷を食べながら、映画や旅の話を良くした。ときには、恋愛の相談もされた。別れられずにくよくよする女友達に、恋もしたこともないのに「男性は追っては駄目、追うようにしむけなくては」「ハンカチを取り替えるように男性を…