2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

有金君 その8

ぼくがあわてて車を購入したのには、じつはわけがあった(註、2004ー10ー17「文藝手帖の中身」参照)。 古い手帖をみると、5月13日(金)に運転免許の本試験があったことがわかる。当時、川崎市に住んでいたから(旧ヴェルディ川崎のホームグランド、等々力…

有金君 その7

有金君から、つぎのようなメールが届いた。質問の返事だ。 「アマガエル色のゴルフ、中ブルのせいか、クラッチ?ブレーキおお甘! 首都高、銀座に向かって走っていても、必死にハンドル握ってないと、とんでもない所へぶっ飛んでいってしまいそうでした。 奥…

有金君 その6

有金君は、自動車外商のあとしばらくして、うちに泊まりにきた(註、例によってだらだら長いだけですから、ご多忙の方は、ずっととばして、「その晩」からお読みください)。 ベージュに塗られた鉄のドアをあけると(隣りの甘木の住んでいる号棟のドアはブル…

有金君 その5

ーー辰野(隆)さん、僕のリアリズムはこうです。つまり紀行文みたいなものを書くとしても、行って来た記憶がある内に書いてはいけない。一たん忘れてその後で今度自分で思い出す。それを綴り合わしたものが本当の経験であって、覚えた儘を書いたのは真実で…

有金君 その4

嵐山で暇つぶしをして大損害したあと、太秦の顧客のお宅で商売をして、暗くなってからホテルに帰ってきた。その頃は、パレスサイド・ホテルが定宿だった。京都御所の西側に面していて、町中からは遠く離れていた。 ホテルの近くまで戻ってくると、京都府警の…