2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

綴じ込みページ 猫-97

「犬が育てた猫」から、もうすこし。 多摩川の近くのいまの家に引越すすこし前のことだから、昭和四十年ころだったろう。パトカーと救急車のサイレンが、ウーウーウーという脅迫的な音から、ピーポピーポという音に変った。そのとき困ったのが、家にいた犬で…

綴じ込みページ 猫-96

で、「猫の名作文学館 や」から吉行淳之介の「犬が育てた猫」。 吉行淳之介は、ある日家の裏口に捨てられていた猫を、飼い犬の木箱のなかに入れておく。すると、吉行が飼っていた老犬は子猫をいつくしみ育てる。成長した猫は自分を犬だと思っているらしく、…

綴じ込みページ 猫-95

「猫の名作文学館」の「や」は、吉行淳之介の「犬が育てた猫」。 この本はすぐそばの本棚にあるので、早速、取り出してみた。潮出版社から出た箱入りの本である(昭和六十二年三月五日発行)。 なにかしているときに、好きな作家の本を手に取ると、ロクなこ…

綴じ込みページ 猫-94

平凡社刊「作家の猫」の付録ページに「猫の名作文学館」というのが載っている。「猫好きのための、猫好き作家による名作文学館にようこそ。」とキャプションがついている。あいうえお順に作家が並んでおり、猫にまつわる著書を紹介している。 「む」の項で、…

綴じ込みページ 猫-93

猫がじっとすわって、なにか考えているような風情でいるのを見て、哲学的と判断するのは間違いだそうである。猫がそうしているのは、ふだん聞き慣れない音だとか、ごく小さな虫の存在に敏感に反応しているからで、だいいち、猫という生き物はなにも考えてい…