2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

銀座百点 号外6

「井伏鱒二対談集」(新潮文庫・平成八年八月一日発行)から、もうすこし引用します。 永井「僕が『文藝春秋』に入ったのは昭和二年、当時の文藝春秋は、麹町三番町の元有島武郎さんの屋敷ですよ。有島さんの家は五千石ぐらいの旗本の屋敷で立派でした。左右…

銀座百点 号外5

平成8年8月に新潮文庫に収められた「井伏鱒二対談集」(この対談集は平成5年4月新潮社より刊行された)に「文学・閑話休題」と題する永井龍男との対談が収録されている。志賀直哉がなくなったばかりのときで、志賀直哉の話からはじまっている。大村彦次郎氏…

銀座百点 号外4

永井龍男は、1904年(明治37年)5月20日、神田猿楽町に生まれた。父教治郎、母ヱツ。四男一女の末っ子である。例によって、今回もまた横道。 「東京生まれの文人たち」と副題のある大村彦次郎著「万太郎 松太郎 正太郎」(2007年7月25日 筑摩書房刊)の第6章…

銀座百点 号外3

『まず私自身のことからはじめるのだが、私が若いころカストリ雑誌の編集者をしていたとおもっている人が多いようである。それはそれでいいのだが、私の入社した新太陽社は「モダン日本」という戦前派には周知のしかるべき雑誌を出していた。もっとも、その…

銀座百店 号外2

吉行淳之介に、「永井龍男の文章」という一文がある(「毎日新聞」夕刊 昭和四十二年一月四日発行)。脱線ついでに紹介してみる。 『永井龍男氏の文章は、地味で簡潔で、そこには人目を惹く余分な飾りのようなものは一切ない。人間の目からみて、いかにも無…