2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

罪と赦し

砂糖部長に遠藤周作の「おバカさん」を貸した。箱入りの本だから、箱のまま渡した。装丁は柳原良平で、主人公のフランス人と、その足もとにまとわりつく犬が、ユーモラスに描かれていた。テーマは、人間の罪とそれに対する無償の愛(赦し)ということのよう…

なぞの支払い証明書

集金用の領収書には、端のところに支払い証明書というものが付いていました。これは、昔、全額いただいたのに、きちんと入金せずに自分の小遣いに流用した社員がいたからです。その社員は、給料日になると、自分でつかった分だけ、あらたに入金して穴を埋め…

有金君の災難

その大阪の大学講師夫妻が店に立ち寄ったとき、上の4階ホールで展示会を催していたのは、偶然だとおもう。 大阪で知り合ったのか、有金君は親しそうに挨拶してから、会場に案内した。 買い物がすんだ頃は、もう外は暗くなっていた。 食事はホテルにもどって…

有金君の怖かった話

福生の駅前で待っていると、1台の黒塗りのベンツがすーっと寄ってきたんですよ、と有金君はいった。 すぐに運転していた男がおりてきて、ぼくの前までくると、ひらいた両膝に手をおいて、半分腰をかがめるようにして、でも頭はぜんぜん下げない仕方で挨拶し…