2004-08-01から1ヶ月間の記事一覧

綿貫君

綿貫君は、2年くらいしてから、帰国した。本人の計算では、10年くらいいるつもりだったのだが、フランス人ばっかりで退屈しはじめたらしい。パリでは、アパルトマンを借りて、毎日、自転車にのって街じゅうを走りまわっていた、といった。ラーレーというイギ…

あいさつまわり

挨拶まわり、というのを、しょっちゅう、やっていたような気がします。盆だ、暮だ、正月だ、でご挨拶にうかがいます。それに、展示会が毎月のようにあって、そのつど案内状を届けに歩きました。車でまわるような遠距離は、なじみの個人タクシーを利用してい…

その日は、銀座でひとと会って、いつもより少し酒がまわっていたかもしれない。お互いに最終に間に合って、有楽町で別れた。京浜東北線の車内は混雑しており、途中の駅では降りるひとよりも乗るひとのほうが多い割には、すし詰めという具合にならず、着ぶく…

お多幸

お多幸の店長さんが、テレビで取材をうけていた。お多幸は、ソニー通りと並木通りをむすぶ路地にあった。ロバの耳のななめ向かいあたりだった。となりに鳥ぎんもあって、めんどくさいときは、このどちらかにはいることにしていた。いまは、路地もすっかりか…

喫茶店ロバの耳

銀座並木通りに面した古いビルの地下に、その喫茶店はありました。 せまい急な階段をおりると、厚いガラスのドアで、ちょっとちからをこめて押すと、すきまからヴォリュームいっぱいの音楽があふれだします。店内は、もうもうとしたタバコのけむりが、音楽と…