2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

彫刻 14

四谷荒木町の建築家、知多半島出身のE氏は、どうやら本気で彫刻にとりかかったようだった。 「彫刻をやりたかった建築家連中を集めましてね。これが結構いるんですよ」 その夜も酩酊気味のE氏は、ちょっと膝を乗り出した。 「もうじき展覧会をひらくから、そ…

彫刻 13

四谷荒木町のマンションにアトリエを構えていたE氏は、知多半島出身の建築家だった(もともとは彫刻家になりたかったらしい)。 ある夜、E氏は、少々酔っぱらって来店された。そして、椅子に腰をおろすと、東京の大学にはいった頃のことを話しだした。E氏は…

彫刻 12

芸術院会員の某彫刻家にたずねた。 「彫刻になにを求めますか?」 彫刻家は、ぽつりと答えた。 「近代の超克(彫刻)」

彫刻 11

「カキツバタですよ」 写真に写っているものがなんだかわからずにじっと眺めていると、I先生はそういった。 木材の余りでこんなものを作ってみました、といってポケットから取り出した写真を見せられたときだ。 そういわれると、わけのわからない形は、花弁…

彫刻 10

4階倉庫にブロンズの固まりが放置されていた。放置といっては間違いで、箱に入れてきちんと風呂敷で包んであるのだが、どう見ても置きっぱなしだった。これは、蜜野氏(2006-09-17「ある日の昼飯」〜2006-09-24「続・田舎の道」参照)の所有物だった。 それ…