2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

綴じ込みページ 猫-190

ぼくは、いま、書店に行っても俳句か詩のコーナーしかのぞかないから、その本が目に入ったのはまったくの偶然だった。いや、偶然には違いないけれど、ぼくは必然だとおもっている。神様が眼につくようにしむけてくださったのである。いつも、そうだから。 「…

綴じ込みページ 猫-189

ぼくの本棚は三段になっているが、奥行きがあるので、横に積み上げた本が三列詰まっている。この家に越してきたとき、遊びにきた家内の姪二人が、二階を見に駆け上がっていき、すぐに笑いながら降りてきた。 「どうしたの」 家内が二人にたずねた。 「だって…

綴じ込みページ 猫-188

毎月一回、句会に出る。もう七年続いている。 いろんな人の句集をずいぶん読んだが、気になる俳人というのは存外すくない。もっとも、これは小説家の場合も同じで、理由がぼくにあることは十分承知している。 古典、名作、傑作といっても、味覚といっしょで…

綴じ込みページ 猫-187

平久井、泥谷、利根山。これは、いずれも姓である。ここ二週間のあいだに、たてつづけに遭遇した苗字だが、利根山に関してはぼくの母方の姓だからはじめてというわけではない。 平久井、ひらくいさん。会社の複合コピー機のメンテナンスにみえて、名刺を交換…

号外 オー・マイ・ブッダ 2

「イスラム国ごっこ」から最後通牒がきた。なかなか狡猾である。今回の問題は、水のなかに飛び込んで濡れずに出てくるような、不条理きわまりない命題といえる テロ実行犯Aの身柄と引き換えに、ヨルダン政府が望むパイロットBとの交換でなく、第3国のジャー…