2014-08-01から1ヶ月間の記事一覧

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でもって、変哲小沢昭一巨匠の最初の句。昭和四十四年一月。 スナックに煮凝のあるママの過去 水仙に猫がじゃれてる2DK 空風や鮒佐本日休みにて 寒月や地下鉄工事秋田辯 ゲバ棒の落ち目の春のにが笑ひ 通夜の音の越後なまりや雪女郎 そして、最後の句。平成…

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名優小沢昭一のために書かれた戯曲「芭蕉通夜舟」(井上ひさし)を坂東三津五郎が演じたのは、もう二年前のことか。そろり会(句会)の有志にくっついて、ぼくも新宿紀伊国屋サザンシアターに見に行った。三津五郎さんには気の毒だが、小沢昭一っつあんで見…

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白石正人句集「わかめご飯の素」(「冬 winter」)のつづき。 こころみに足袋履いてみる男かな 向ひから外つ国人の礼者かな 寝ねがてに年賀はがきを読みかへす 牛日の乗り放題の切符かな (牛日:一月五日) どんど焚く縄は縄なる形して かにかくにをろがむ…

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白石正人句集「わかめご飯の素」から、いよいよ「冬 winter」。 神無月山から鶲やつて来て (鶲:ひたき) 水鳥に水門開く冬運河 オリオンや鉱石ラヂオからザザザ 牛鍋を唄ひたくなるまで喰らふ 鰭酒や恋は強火であぶるべし 海鼠から海鼠うまるる夜の生簀 冬…

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白石正人句集「わかめご飯の素」(「秋 autumn」)のつづき。 栗の毬硬し祭礼始まれり 吾亦紅代役の子の颯爽と 栗の木の下に糞あり鹿の秋 口笛を吹けぬ少年赤まんま 黒葡萄目玉のやうな重さかな 軒下の古提灯や今年酒 二人ゐて素直になれる櫟の実 秋の水代は…