綴じ込みページ 猫-158
白石正人句集「わかめご飯の素」(「秋 autumn」)のつづき。
栗の毬硬し祭礼始まれり
吾亦紅代役の子の颯爽と
栗の木の下に糞あり鹿の秋
口笛を吹けぬ少年赤まんま
黒葡萄目玉のやうな重さかな
軒下の古提灯や今年酒
二人ゐて素直になれる櫟の実
秋の水代はりばんこに手をつける
むささびの穴の二つや秋の風
十月やチラシの間取り見くらべる
十月やボタンで開く青梅線
レモンひとつ籠にいれたる男かな
小鳥来る童話のならぶ古書の市
新刊に鼻が近づく書肆の秋
巻末に忌日一覧つづれさせ
爽やかや幼なが幼な励ませり
爽やかや二人の耳の聡くあれ
野紺菊ゆらし優しき人となる
引率のブラウス美しき秋桜
釣舟草たをりて足のゆらぎけり
ドリームカムトゥルー翌あるべし柿の空 (翌は、あした)
(つづく)