2012-01-01から1年間の記事一覧

綴じ込みページ 猫-59

寒中でもおかまいなく、熱心に吟行しているらしいいて丁さんに、メールでアランセーターをすすめてみた。山野を歩きまわって、万一、遭難しては一大事ではないか。 いて丁さんから、すぐ返事が来た。 「現在の小生の購入希望順位は、以下の通り。1位 眼鏡(…

綴じ込みページ 猫-58

最近、本物のアランセーターを入手した。アイルランド西岸沖に浮かぶ島々(アラン諸島)で編まれた、ヘミングウェイも愛したあのセーターである。 ぼくの購入したプルオーバー(丸首かぶり)は、ブラックシープとシルバーシープのミックス(ブラック&シルバ…

綴じ込みページ 猫-57

盛り場から夜遅くパリの石だたみを歩いての帰りみち、 フト足にからみつく猫があって、 不憫に思って家に連れてきて飼ったのが 1匹から2匹、2匹から3匹となり、 それをモデルの来ぬ暇々に眺め廻し描き始めたのが そもそものようです。 ひどく温柔(おしとや…

綴じ込みページ 猫-56

また、平凡社「作家の猫」より。 ある晩、黒猫をつかまえて 鋏でしっぽを切るとパチン! と黄いろい煙になってしまった。 頭の上でキャッ! という声がした。 窓をあけると、 尾のないホーキ星が逃げて行くのが見えた。 (「黒猫のしっぽを切った話」『一千…

綴じ込みページ 猫-55

ぼくが一大事業を起こしたとき、和田誠先生にマークを描いていただいた。ぼくは、奇跡としかおもえない事柄にいくつか出くわしたが、一面識もない和田先生にマークをお願いしてご快諾いただけたことも、もちろん、その筆頭である。 マークは、ヒョウである。…

綴じ込みページ 猫-54

「作家の猫」(平凡社)には、あの猫好きのアーネスト・ヘミングウェイも載っている(「アーネスト・ヘミングウェイとボイシー」)。 「パパ」の愛称で親しまれるヘミングウェイ(1899-1961)は、異常なまでの猫好きとして知られる。キューバ時代には猫専用…

綴じ込みページ 猫-53

平凡社から「作家の猫」(コロナ・ブックス)という本が出ている。2006年6月25日初版発行。手もとの本は、7月15日発行の初版第二刷である。ひと月で重版されるくらい、猫好きが多いということだろう。 おもしろいのは、「猫嫌いの作家たち」(草彅洋平)など…

綴じ込みページ 猫-52

晩秋の大雨が東京を襲った土曜日、自宅の1階の六畳間の天井の角が雨漏りしていた。そのすぐ下にエアコン専用のコンセントがあり、すでに猫のために暖房を入れているから、ショートでもしたら一大事になるところだった。 はじめ、何の気なしに見ると、ミーヤ…

綴じ込みページ 猫-51

風邪を引いて、しきりに痰が出る。ティッシュ・ペーパーに吐き出して、ゴミ箱に捨てる。そんな仕草が、吉行淳之介を想いださせる。吉行さんは喘息だったから、終生痰とティッシュから逃れられなかった。 ところで、これは危険である。ぼくには、感染体質があ…

綴じ込みページ 猫-50

それでは、カミサンにたいし、吉行淳之介の文章を借りて反撃しよう。ぼくの好きな「湿った空乾いた空」から。 この女は、女性という種族の特徴(可憐さ、やさしさ、馬鹿、嫉妬心、吝嗇、勘の良さ、非論理性、嘘をつくこと、すべての発想が自分を中心にして出…

綴じ込みページ 猫-49

いて丁さんから、「吉行淳之介展」のカタログをご恵投いただいた。文庫版の高橋和己全集を進呈したお礼である。ぼくが吉行淳之介を好きなのを知っていて、あまり世間に出まわっていない本だから、きっとあいつも持っていないだろう、とおもわれたのかもしれ…

綴じ込みページ 猫-48

「デイ・ドリーム・ビリーバー」の原詞には、「a daydream believer」と「a homecoming queen」がいっしょに暮らしはじめたところが歌われている。夢想家の青年と学園祭のミス・女王(いろんな女王がいるけれど、たぶん、このあたりでしょう)のカップルの前…

綴じ込みページ 猫-47

忌野清志郎の作詞した「Day Dream Believer」を、きちんと聴いた。ちゃんと聴くのははじめてのことだ。いつもテレビのコマーシャルで流れてくるのを、ぼんやりと聴いてはいたが、もともとザ・モンキーズの曲だろ、くらいにしかおもわなかった。 聴いていて、…

綴じ込みページ 猫-46

「ラスト・メッセージ」というタイトルで「FE」の特集は終わる。スティーヴ・マックィーンは、みずからの最後において、なにを語ったのか。 かつてマックィーンは、自分についてこういったことがある。 「俺はミッドウェストの出身だ。物事を判断するのに最…

綴じ込みページ 猫-45

スティーヴ・マックィーンの最初の妻、ニール・アダムスは語る。 FE:ファッションは? N「天性のもの! 何を選ばせてもすばらしかった。ジーンズ一つとっても100本以上あったけれど、どれもジャストサイズに作られていたわ。真新しいものを穿いたスティーヴ…

綴じ込みページ 猫-44

カミサンの三回忌に、ぼくにしてはめずらしく、立上がって挨拶をしました。 本日は、みなさま、ご多用のところを朱実の三回忌にご参列賜り、誠に有難うございました。本来でしたら、当の本人がご挨拶すべきところですが、かわって私がお礼を申し上げます。 …

綴じ込みページ 猫-43

「バド・イーキンス、1930年ロサンゼルス生れ。50年代にトライアンフのトップレーサーとして活躍。1968年には全米ナンバーワンのトライアンフディーラーとして年間700台を売り上げる記録を樹立。親友スティーヴ・マックィーン主演の映画『大脱走』での歴史的…

綴じ込みページ 猫-42

「FE」の質問に、スティーヴ・マックィーンの元マネージャー、ヒラルド・エルキンス(HE)が答えている。 FE:およそ役者はビジネスに関しては無関心ですが。 HE「スティーヴはビジネスに関しても細かく注意を払っていた。ただ、作品1本につき数千万ドルもの…

綴じ込みページ 猫-41

スティーブ・マックィーンは、手もとのメモによれば、1930年3月24日生れ。インディアナ州インディアナポリス近郊のビーチグルーブ出身。父親は曲芸飛行士、母親は家出娘。生後6カ月くらいのとき、両親離婚。母の再婚とともに各地を転々とする。 14歳のころ、…

綴じ込みページ 猫-40

もうひとつ、「FE」からひろってみよう。 「マックィーンはブルーカラーヒーローが最も似合う役者だった。役者になる以前は、油漕船の船員、テキサスの油田労働者、カナダの森林伐採夫、テレビ修理屋、ストリートボクサーといった職業を転々としている。ブル…

綴じ込みページ 猫-39

「FE」は、こうも書いている。 「マックィーンは体格がよく爽やかな笑顔の美男子というかつてのハリウッドのヒーロー像と異なり、小柄でともすればサル顔といわれそうな個性的な顔立ちだった。だが、彼の姿はスクリーンに映え、観客を魅了した。決してアドバ…

綴じ込みページ 猫-38

「Free & Easy」という雑誌がある(略して、FE)。手もとの2007年2月号は、創刊100号記念号で、特集が「マックィーンから教わった」。スティーヴ・マックィーンのファッションから生き方、そして真実にまで迫っている。まあ、ぼくは、真実なんてどうでもいい…

綴じ込みページ 猫-37

スティーヴ・マックイーンの身長は、172センチだった。なんだか、意外に小さい。ぼくでさえ168センチある(註:あったんだけど、いま、健診で計ってもらうと、1センチちょっと縮んでいる。歳月は背も縮める)。 いろんな説があって、176から180センチという…

綴じ込みページ 猫-36

A-2フライトジャケットをご存じだろうか。映画「大脱走」でスティーヴ・マックイーンが着ていたあの皮のジャンパーである。30年前、ぼくも渋谷のミウラ&サンズで購入して、10年ばかり着ていたことがあった。 ぼくのは、アヴィレックスというメーカーが出し…

綴じ込みページ 猫-35

ミーヤの抜け毛がおさまってきました。まだ暑い日が続いていますが、猫のからだは季節の移ろいを感じているようです。

綴じ込みページ 猫-34

イーグルスに「デスペラード」という題の曲があります。「ならず者」と訳されていますが、打ちのめされた、とか、打ちひしがれた、といったほうが歌の内容には合っています。歌詞に「boy」と呼びかける箇所がありますから、年配の男が、年少の男(といっても…

綴じ込みページ 猫-33

毎日1〜2時間、イーグルスの「ホテルカリフォルニア」を繰り返し聴いている。「You Tube」の動画でだが、もう2カ月になる。 「ホテルカリフォルニア」は、イントロから最後まで、6〜7分の曲である(1分のちがいは、リードギターの連奏が、気分がのっていると…

綴じ込みページ 猫-32

盛夏を迎えて、ようやくミーヤの抜け毛がおさまってきた。 朝晩、ゴムのくしでミーヤの抜け毛をすき取るのが日課になっている。ミーヤがうちにきてから、ほとんど毎日、欠かさない。このゴムのくしは、インターネットで購入した。猫がよろこんでマッサージさ…

綴じ込みページ 猫-31

「貨物船句集」に猫の句は三句。 猫じゃらし化け猫も野を横切りし 猫踏んじゃった又踏んじゃった年暮るる 年の瀬や教授の訓示猫眠る ぼくが俳句をはじめたとき、「貨物船句集」は羅針盤のひとつだった。それをきいたら、句会のお仲間は、なんというだろう。

綴じ込みページ 猫-30

辻征夫という詩人に、「貨物船句集」(書肆山田・2001年1月10日初版第一刷発行)という句集がある。帯の表と裏に、詩人の清水哲男と小説家の小沢信男が推薦文(なんだろうな)を寄せている。 辻征夫にとって、「余白句会」は、無二の楽しみの座であったと確…