綴じ込みページ 猫-40

 もうひとつ、「FE」からひろってみよう。
「マックィーンはブルーカラーヒーローが最も似合う役者だった。役者になる以前は、油漕船の船員、テキサスの油田労働者、カナダの森林伐採夫、テレビ修理屋、ストリートボクサーといった職業を転々としている。ブルーカラーの原点ともいえるカウボーイは、子供の頃からの憧れの職業であり、同じ血の通った意識で自然にこなすことのできる役柄でもあったのだ。なかでもリアルなスタイルが表れている作品が、サム・ペキンパーが撮った『ジュニア・ボナー/華麗なる賭け』(72)」と後期の名作『トム・ホーン』(78)だ。『ジュニア・ボナー/華麗なる賭け』は、1970年代の西部を舞台に、次第に失われていくフロンティアのなかで伝統を守り抜くロデオ一家の父子の友情を描いた。とりわけアウトローカウボーイを演出するLEEストームライダーとウェスタンシャツの着こなしが抜群である。
 一方、『トム・ホーン』では馬にまたがったままバックするアクションやガンの照準の合わせ方など、実際に命を賭けて戦った男の動きをリアルに演じている。若い頃に出ていた娯楽性の高い西部劇とは随分違うダッズ・マックィーンの魅力を、ラギットな着こなしとともに堪能できる。」(「ロンサムカウボーイ&DAD'Sスタイル」)
 このへんで、マックィーンの生い立ちを見ておいたほうがいいかもしれない。
(つづく)