2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

綴じ込みページ 猫-222

われらがいて丁さんが、スズメバチに刺された。われらが、というのはおかしいかな。でも、まあ、いいや。いて丁さんは、わさびさん主催の句会では優等生で、人望もあり、俳人としての将来を嘱望されている人物なのだから。 この事件を発見したのは、わさびさ…

綴じ込みページ 猫-221

芥川賞受賞作が評判である。受賞者の又吉さんが、母が「『花火』、読んだで」といったので、母は読んでいないなとおもった、と話していた(受賞作は『火花』)。 ぼくも、ちょっと恥ずかしかった。ぼくもずっと『花火』だとおもっていた(ということは、読ん…

綴じ込みページ 猫-220

航空機が群馬の山中に墜落してから三十年が経った。 この年の秋、正確には十月二十七日、ぼくの父がなくなった。享年六十二。この日は、ぼくの三十六回目の誕生日だった。 葬儀は、友人の従兄、俊夫さんの寺で営んだ。川崎駅前の繁華街のなかにある浄土宗の…

綴じ込みページ 猫-219

まとまった休みがとれて、ふだんおろそかにしている事柄を、この際ぜんぶ片づけてやろうとおもった。が、おもっただけで、なにもラチがあかなかった。 ひとつには、猫のミーヤがずっとへばりついて離れないからで、おまえは犬か、といってやりたい。世の中の…

綴じ込みページ 猫-218

ミーヤが一年中、空調のよく効いた部屋で生活しているせいで、抜毛がめっきりすくなくなった、と春に報告した。しかし、これが誤りであったので、前言撤回します。 原因はどうやらぼくで、あまりきつく梳いたらいやがるだろう、と勝手に思い込み、少々ブラッ…