2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

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夏目漱石の全集を購入した。岩波書店刊、新書判「漱石全集」全三十五巻、古本で一万二千円。一冊三百四十三円也である。いま、文庫本だってこんなに安くない。 じつは、十年近く前に、同じものを一度購入したことがある。これは、別のところに書いたことがあ…

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句集「山の夢」には、大木あまり自身の「あとがき」がある。せっかくだから、若き日のあまり先生が、どんなおもいで俳句に対峙していたのかを見ておこう。 句集のための整理を始めて少しは輝きのあるものをと願っておりましたが、饒舌な句が多く、まだまだ、…

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第四章「雪の山 一九七八年ー一九七九年」(大木あまり句集「山の夢」所収)のつづき。 秋の天怒りはじめの喰ひはじめ 花冷えに似てどぶろくの山の国 硬く巻く長子の傘や花八ツ手 鴨わたり来て山の幅人の幅 大仏の海に雨消え大根引き 菊盗ると鎌倉寒の来りけ…

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第四章「雪の山 一九七八年ー一九七九年」(大木あまり句集「山の夢」所収)。 霰打つ男女の世より逃るべし 貧乏揺すり日向一つの寒雀 鴨は雫雑木に移す涅槃かな 沼底の濁りは知らず恋雀 阿呆一生雪山を見て杉を見て 父の骨土に根づくか春の雪 海と化すには…

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第三章「盆用意 一九七七年」(大木あまり句集「山の夢」所収)のつづき。 雲を飼ふ山々なれば明易し 新じやがをほろほろむけば法事来る 米喰はぬ日は怒りがち雲の峰 雨の中日が射し山の盆用意 げんのしようこ髢干しして山の国 註:かもじ 祭三日汗を出しき…

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第三章は、「盆用意 一九七七年」(大木あまり句集「山の夢」所収)。 寒卵は尼の静けさ岬暮る 水仙や雀するりと墓日和 枯葦の影も他郷や酒盗買ふ しやちほこの目の支へあふ雪催 足柄や赤子気配の冬木の芽 多喜二忌や地に嫋嫋と濡れわかめ 涅槃西風けふ生か…

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第二章「願の道 一九七六年」(大木あまり句集「山の夢」所収)のつづき。 蠅取紙蠅を離さず村暮るる 風の座を男に譲る昼の蝉 サングラスの軽さ重さや独身者 註:ひとりもの 汗ふくやモナリザ微笑の八時間 註:えみ 木槿咲く少年工の隠れ喰ひ しぎ焼に爺婆の…