2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

銀座百点 号外44

「田村隆一全集」の第6巻を購入。これでめでたく全巻揃ったことになる。 巻末の「解説エッセイ」は、長谷川郁夫。最近、いまどきの本はぜんぜん読まないから、この解説者も知らない人だ。いま、調べたら、「元小澤書店社長、文芸編集者、評論家、大阪芸術大…

銀座百点 号外43

きのうのつづき。大木あまり選飛行船句の残り。 暦だけの秋を彩る木槿かな 八月尽今宵も酒場放浪記 炎天をワシコフ黙して往きにけり 生活といふ劇場や秋出水 鹿鳴けば思ひ出よぎる奈良ホテル みちのくの早瀬にかかる紅葉かな なんとなく遠まはりする良夜かな…

銀座百点 号外42

そろり会は、ちょうど3年前に発足した。大木あまり先生にご指導いただけたのは、僥倖以外のなにものでもない。愚鈍な飛行船に、それが多少なりともわかってきたのは、いい加減日が経ってからのことだ。そのおもいは、日を増して強くなってきている。いい道具…

銀座百点 号外41

では、万作さん選飛行船句。 幼子の掌よりこぼるる雛あられ 春一番吹いて机上は砂漠かな 漆黒の闇匂ひ立つ沈丁花 睡蓮の夢見る如き寝顔かな 鉄塔に少年の夏輝けり 百日紅父の墓前の煙草かな 白犬の路地ふさぎをる暑さかな 夏祭り狐の面の笑みもらす すり減り…

銀座百点 号外40

鶉さんと万作さんは、実務家である。実務家でありながらロマンチシストである。そして、どちらも血が熱い。しかし、よく似ているようで、似ていない。似ていない証拠は、選句を見てみればわかる。 それでは、鶉さん選の飛行船句から見てみよう。 汗ばみし八…