2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

銀座百点 号外29

さて、いて丁さん選の飛行船句は、つぎのとおりである。 口切りを買ひに寺町一保堂 赤蕪をはむ妻の歯の白さかな 寒ければ簾はあげず香炉峰 廃駅のホームのはずれのカンナかな 線路錆びて草むすなかに昏るる駅 秋燈や机上に紫苑物語 垣越へて訪なう隣家の実む…

銀座百点 号外28

不肖飛行船の句は、お仲間のなかでも毀誉褒貶がはげしくて、もちあげられたり落とされたりしている。コントロールのわるいピッチャーみたいに、なかなかストライクがはいらないのだから無理もない。選のはいらない句は残さないきまりだが、なんとなく残って…

銀座百点 号外27

さて、それではつぎに、柚さんが選んだ万作さんの句を並べてみよう。いて丁さんも柚さんも「銀座百点」の「銀座俳句」に掲載された同士だが、しかしスタイルはだいぶ異なっている。その違いはやはり感性の違いで、それはなにを採るかに如実に現れているよう…

銀座百点 号外26

それでは、こんどは、いて丁さんが選んだ万作さんの句を見てみよう。 行く先を迷う我が身に春の雨 まんさくに色取り戻す帰り道 草刈の野に咲きおるや彼岸花 秋まゆを集め自前の紬織る 鍋の底焦げ付きのこり年新た 一年の出だしはいかに初商 牛筋を炊いて迎え…

銀座百点 号外25

句会でぼくがとった万作さんの句を紹介しよう。 黒い雨平積みされて原爆忌 蜩や畳のけばに差す日ざし 一日と露草の露白くなり 水仙のただ一花で香りたる 新春や荒神様の札新た そのままに食めと祖母云ふ桜餅 手に負えぬこと多かりし花守り 薄墨を流してぼか…