2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

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第二章は、「願の道 一九七六年」(大木あまり句集「山の夢」所収)である。 眠たさや寒禽和紙の微音して 二月雪飛火のごとく仕事来る 鴨の沼めぐりて母の遍路貌 春待つやドガの踊り子ジュース立て 花社氏子雀のはじけ飛ぶ 毛の国や春暁顔のちぢむなり 春寒…

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「かき氷 一九七二年ー一九七五年」(大木あまり句集「山の夢」所収)のつづき。 マフラーに風の矛先面接日 父母くれし黒髪乱す桜東風 花こぶし逢はねば忘る合言葉 風の町すみれ嗅ぐにも父似の鼻 かなしみも余裕の一つ葱坊主 揚花火華麗に降らせ父知らず 黄…

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「かき氷 一九七二年ー一九七五年」(大木あまり句集「山の夢」所収) 父よ母よゆすら実赤し和解欲る 陽気さが母を支へて木槿咲く 赤のまんま働かぬ日は天使貌 黄葉を浴びぬ飛びたき石蛙 枯葉飛行風はその日の演出家 命のごと拾ひぬ母の木の葉髪 花として散…

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大木あまり先生の第一句集「山の夢」は、「海光のシリーズ 新鋭作家集ー1」として一九八〇年六月一日に一日書房から刊行された。句は、四章に分けられ、合計233句収録されている。 第一章の表題は「かき氷」。1972年から1975年までの53句が並んでいる。 同様…

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ボッコちゃんは、化学者である。優秀な大学院で学んで、論文が認められ、研究所に勤めるようになった。 ボッコちゃんの着想は、最初、みんなに相手にされなかった。しかし、こつこつと研究するうちに、着想が実証できそうになると、関心を持つ研究者が現れた…