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 大木あまり先生の第一句集「山の夢」は、「海光のシリーズ 新鋭作家集ー1」として一九八〇年六月一日に一日書房から刊行された。句は、四章に分けられ、合計233句収録されている。


 第一章の表題は「かき氷」。1972年から1975年までの53句が並んでいる。
同様に、第二章「願の道」1976年、56句。第三章「盆用意」1977年、59句。第四章「雪の山」1978年から1979年、65句。


 中扉には、「句集 山の夢 人叢書第九集」とあり、奥付には「句集 山の夢 人叢書第九篇」と見える。


 二〇〇四年一二月三〇日に刊行された、「大木あまり集」(邑書林 セレクション俳人 04)所収の『「山の夢」抄』には、「第一章 願の道 一九七六年」(49句)、「第二章 盆用意 一九七七年」(27句)、「第三章 雪の山 一九七八年ー一九七九年」(40句)となっており、本来第一章だった「かき氷」は割愛されている。


 ちなみに、二〇一二年三月一四日にふらんす堂から刊行された、「シリーズ自句自解1 ベスト100 大木あまり」収録の「山の夢」所収句は、全部で18句である。そして、「大木あまり集」では外してしまった「かき氷」から、つぎの6句が選ばれている。


    鳩内気すずめ陽気に梅雨の家
    かき氷さくさく減らし同世代
    風の町すみれ嗅ぐにも父似の鼻
    大姉も小姉も細身十月野
    星屑の冷たさに似て菊膾
    雪踏んで光源氏の猫帰る


 なぜ「大木あまり集」では割愛されたのか、きくのも野暮というものか。
 

 大木あまりの句を引用するのは、吉行淳之介の文章を引き写すのと同じ心地よさがある。だったら、第一句集「山の夢」は現在入手困難で、読みたいひとも多いはずだから、ぼくが書き写してみようかな。