2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

綴じ込みページ 猫-240

いま、ミーヤは、手足としっぽ以外はすべてさわらせてくれる。しっぽは、軽くつかんでもいやがらないが、強く握るとふりかえって「ヤーダ」と鳴く。前足と後ろ足は、とりわけさわってほしくないようだ。腹ばいになっているとき、前足をそっとつまむと、上目…

綴じ込みページ 猫-239

そのとき、ぼくは、猫にいくつか約束をした。東日本大震災の夜、銀座から夢中で歩いて帰宅したのも、その約束のひとつを守るためだった。 「ぼくは、きみをけっしてひとりにはしないよ」 (つづく)

綴じ込みページ 猫-238

書類審査が通って、ぼくのところに猫が来ることになった。ぼくは、猫を飼ったことがなかったから、うまくやっていけるかどうか、ずいぶん心配だった。 猫を届けてくれたボランティアの母娘は、半日おしゃべりして、夕方帰っていった。帰りがけに、一週間いっ…

綴じ込みページ 猫-237

猫は、飼い主たちによると、ごはんと水と(トイレ用の)砂だけ用意しておけば、あとは平気で留守にできるし、帰りの時間を気にする必要もない、とのことだった。一日じゅうほっぽっといても、場合によっては(ごはんと水と砂があれば)二三日ほっぽりっぱな…

綴じ込みページ 猫-236

藤田嗣治が猫好きだったのは有名である。平凡社の「作家の猫」でも、ほんの数ページだが、その横顔が描かれている。猫を顔の脇に捧げ持った写真に添えられたキャプションには、こうある。 盛り場から夜遅くパリの石だたみを歩いての帰りみち、 フト足にから…