2004-12-01から1ヶ月間の記事一覧
有金君のはなしをします。 有金君はぼくより6歳年下でしたが、同じときに入社した同僚でした。彼にも訳があるらしく、あと1年で卒業なのに、なぜか中退したのです。父上が経営していた銀座のおにぎり屋さん(西銀座デパートのなかにあったといいます)が廃…
クレイグ・ライスの「大はずれ殺人事件」(小泉喜美子訳・早川書房)第一章には、1940年代のクリスマス前のシカゴの街がどんなにごったがえしていたか、描かれています。 「〈ボストン・ストア〉の大時計の真下で、群衆はほとんど身動きもできぬくらいに…
新人が必要とされること、それは手伝いです。先輩の商売の手助けです。それには、物の場所とか、その使い方を知っていなくてはなりません。ぼくが最初におしえたことは、箱や、袋や、包装紙のしまってある場所でした。それからすぐに、包装のしかたをおしえ…
新人教育係、というのがあったわけではありませんが、たいていぼくがやっていました。あんなにつきっきりで砂糖部長にこづきまわされていたのが、何年かたって、おしえる立場になるなんて、なんかうそのようです。でも、ぼくは割合適任だったとおもっていま…