2012-01-01から1年間の記事一覧

綴じ込みページ 猫-29

わが畏友、いて丁先生が、のちに俳号のもととなったその句を披露したのは、第1回そろり会がひらかれた2008年2月21日の夜のことである。まだ、そのときは、だれも俳号をつけていなかった(だから、句のあとに作者名を入れるのは、もちろん後付けである)。 凍…

綴じ込みページ 猫-28

ミーヤがキッチンの流し台の上で、なにかに猫パンチしていました。もしや、とおもって飛んで行くと、案の定、油虫でした。それも、けっこう大きいヤツです。 ぼくは、流し台の下からキンチョールを取り出しました(「ルーチョンキ」なんてコマーシャルが流行…

綴じ込みページ 猫-27

数日前、眠っているミーヤを抱いていたら、伸びた爪が目に入りました。ほとんど凶器です。そこで、そっとミーヤをおろすと、テーブルの箱から爪切りを取り出しました(この爪切りは、インターネットでみつけたのですが、ありがたいことに定価の半額になって…

綴じ込みページ 猫-26

うちのミーヤにも、「猫の十戒」にあげられる項目のいくつかはあてはまりそうですが、ぼくはミーヤに、あれもだめ、これもだめとはいいません。しかし、仏壇にのぼったり、キッチン台の火のそばを通ったり、うんと高いところからダイレクトに飛び降りたりし…

綴じ込みページ 猫-25

「猫篇」のつづき。 飼ひ主も猫背なりけり春炬燵 天に星地に猫のゐるクリスマス 主よパンと身寄りなき猫ありがたう 数へ日も猫座布団に眠りをり 猫歴も二年目に入る初暦 人も猫も六白金星初暦 三ヶ日猫の番するにらみ鯛 硝子戸に猫の惰眠の日永かな 恋猫や可…

綴じ込みページ 猫-24

ぼくには猫を詠んだ句がけっこうありますが、いつか「飛行船句屑」という句集が編まれることがあったら、そのなかに「猫篇」として収録するつもりです。 熱燗にふれてつまみし猫の耳 猫族のなほ繁栄す春の宵 不定形の猫眠りつつ夏に入る 一月の炬燵の中の笑…

綴じ込みページ 猫-23

ついでに、「All About」のガイドである岩田麻美子氏の「続・猫の十戒」も紹介しておこう。猫好きだと、つい自分の「猫の十戒」を、いつの間にかつくってしまっているんですね。 1.汝、読んでいる新聞の上に乗ってきて自分に注意を引くことなかれ。 2.汝、自…

綴じ込みページ 猫-22

つぎに、「猫の十戒」をごらんいただきます。こちらは、眼に入れても痛くないほどかわいい飼い猫に、「お願いだからやめてよね」とぼやいているようにも見えます。 猫はなんでもよくわかっているくせに、知らん顔して人のじゃまをして、しれっとしていること…

綴じ込みページ 猫-21

「犬の十戒」というのをご存じでしょうか。作者不詳ですが、犬の立場から、飼い主への十戒(というか、お願い)を並べています。これは、「旧約聖書」の「出エジプト記」第20章にある、モーゼがシナイ山で神から授かった二枚の石板に書かれていた十の言葉の…

綴じ込みページ 猫-20

森様から、すぐにご返事をいただきました(ご報告をずいぶんほっぽらかしていたので、すこしきまりがわるかったのですが)。 「高島様 こんばんわ。こちらは相変わらず犬・猫に囲まれにぎやかに過ごしております。 本日はおいしいおいしい最中をありがとうご…

綴じ込みページ 猫-19

そして、猫がぼくのもとにきて、いつの間にか1年たちました。里親ボランティアの森様に、猫のその後について報告していなかったのを思い出して、あわててメールしました。 「森様 拝啓 ご無沙汰いたしております。お変りございませんか。 いただいた猫の「近…

綴じ込みページ 猫-18

震災で混乱している最中なのに、ぼくはこんなメールを発信しました。だから、あいつは冷たい、なんていわれるんだよな。 「そろり会の皆様 おはようございます。 こんなときになんですが、3月10日(木)「そろり会」の結果発表が中途で止まっています。時間…

綴じ込みページ 猫-17

わさびさんからのメールは、自然と批評になっています(ぼくのメールは、なぜかB級私小説的で、自分でも困ったものだとおもっているのですが、こういうのって歩き癖のようなものでしょうか)。 「酷い災害でなすすべもない、テレビみているだけでアホのような…

綴じ込みページ 猫-16

つぎに届いたのは、万作さんからのメールでした。 「そろり会の皆様 万作ならびに万作のお店とスタッフ、すべて無事でした。 鶉様、ご心配頂きまして、ありがとうございます。 春のバーゲンを開催中のゑり華(註:万作さんの経営する呉服店)。その瞬間、私…

綴じ込みページ 猫-15

そうこうしているうちに、あの3月11日を迎えたのでした。 最初のメールは、翌日、鶉さんから届きました。 「そろり会のみなさま いて丁さん、大変だったみたいですね。 いとこは豊洲の高層マンションの最上階に住んでいるのですが、帰宅後なにも異常はなかっ…

綴じ込みページ 猫-14

メールをいただくと、返事せずにはいられないのがぼくです。誘われるとぜったい断らないのもぼくですが、こういうどーでもいいような事柄の集積が、すなわちぼくを形成しているのでしょうね。 「柚様/いて丁様 拝復 おはようございます。 なるほど(と、すぐ…

綴じ込みページ 猫-13

最初に回答くださったのは鶉さんでした。 「飛行船様 ・ミーヤちゃんとのラブラブ日記、楽しく拝読しました。 ・かかりつけ医は早めに確保しておくとよいと思います。 健康診断をかねて、ご近所の獣医さんを訪ねてみては。 とっさのときに、あわてて駆けこめ…

綴じ込みページ 猫-12

(はじめに註:さすが綴じ込みページだけあって、気がついたら1枚抜けていました。「猫-10」のあとにその1枚を綴じ込みましたので、「猫-11」が「猫-12」に変わります) わさび様/柚様/鶉様/そろり会の皆様 こんにちは。 ミーヤがきてから2週間がたちました…

綴じ込みページ 猫-11

句会のお仲間の柚さんからメールが届きました。 「飛行船さま まったく順調なすべりだし。何の心配もありませんね。 のどをなでさせ、お腹を見せるということは 本当に信頼している証拠だと思います。 良かったですね!!! 猫は、人の言葉が全部わかってま…

綴じ込みページ 猫-10

すぐに俳句のお仲間から返信が来ました。猫との同居生活仮免許中のぼくを、みなさん応援してくださっているのでした。 「わさび様/柚様/万作様/そろり会の皆様 励ましのお便り、有難うございます。 11時過ぎに簡単な昼食をすませてから、冷蔵庫の隙間をのぞ…

綴じ込みページ 猫-9

「わさび様/柚様/鶉様/そろり会の皆様 おはようございます。 せっかくの休日の朝早くからご迷惑さまです。 きのう、お昼前に猫がきました。いや、お届けいただいたわけですが、これがかわいいのなんの。でも、人見知りします。 3時半頃、届けにみえた親娘が…

綴じ込みページ 猫-8

「拝復 こんばんは。 ご返事がおそくなりました。 用意すべきものにつきましては、すべて了解でございます。 インターネットでいろいろ見てみましたが、キャットサークルを用意いたします。 わりと気に入ったのがありましたが、もしかしたら森様のお宅でお使…

綴じ込みページ 猫-7

「ご用意いただきたいもの」として、次のようなメールが届きました。 「では、2月19日(土)にニコさんを連れて伺わせていただきます。お時間などはまた、日にちが近付きましたら決めさせていただきます。ご用意いただきたいもののリストアップいたしました。…

綴じ込みページ 猫-6

「拝復。ご返事がおそくなりました。ようやく家内の姪の一人と連絡がとれました(私には子どもがおりません)。この姪は、武蔵村山市在住ですが、保証人になってくれるそうです。私にアクシデントがあったときには預かってくれ、万一の場合は引き取ってくれ…

綴じ込みページ 猫-5

ボランティアの方からの返信は、だいぶたってからきました。 「この度はお問い合わせいただきましてありがとうございました。体調を崩し伏せっておりましてメールを見ることができずにおりました。お返事が遅くなり申し訳ありませんでした。明日また、きちん…

綴じ込みページ 猫-4

ぼくが意を決して、(里親が見つかるまで仮に猫を世話している)ボランティアの方に送ったメールは、以下のようなものです。 「拝啓。はじめまして。「猫里親募集掲示板」を拝見して、ご相談させていただくことにいたしました。 「その他」にある条件は、当…

綴じ込みページ 猫-3

つぎに届いたのは、鶉さんからのメールでした。 「飛行船さま 落ち着いた和風美人さんですね。 (里親募集ネットの猫の画像が添付されていましたが、省略) よいご縁になりますよう。 トイレは花王のニャンとも清潔トイレがおすすめですよ!」 このあと、わ…

綴じ込みページ 猫-2

すぐにわさびさんから返事が届きました。 「飛行船さま お飼いなさい、お飼いなさい。その子に惹かれたのは運命ですよっ。 雌の三毛猫、理想的です。三毛ってだいたい温厚です。うちの猫だって昼間は猫だけ。猫は自立しているからだいじょうぶです。 週末、…

綴じ込みページ 猫-1

ここで、また、ちょっと寄り道をします。ぼくにとって、特別な日が近づいているからです。 昨年の1月27日に、ぼくは句会のお仲間にメールでアドヴァイスを仰ぎました。話は、そこからはじまります。 「わさび様/そろり会の皆様 おはようございます。 ちょっ…

銀座百点 号外100

一九六四年(昭和三九年)、吉行淳之介が四〇歳のとき、師事していたともいえる佐藤春夫がなくなった。吉行が家を出てから、四年が経っている。「追悼佐藤春夫」には、佐藤春夫夫妻をはさんで、まだ縁の切れない妻の影が見て取れる。 佐藤春夫先生ご夫妻には…