綴じ込みページ 猫-24

 ぼくには猫を詠んだ句がけっこうありますが、いつか「飛行船句屑」という句集が編まれることがあったら、そのなかに「猫篇」として収録するつもりです。


  熱燗にふれてつまみし猫の耳
  猫族のなほ繁栄す春の宵
  不定形の猫眠りつつ夏に入る
  一月の炬燵の中の笑ひ猫
  猫の子のまだ届かざる青簾
  永き日を猫膝にきて動かざる
  飼ひ猫の妻に似てくる四月馬鹿
  猫の目に夏の扉の開かれん
  のどかさや頬にふれたる猫のひげ
  三毛なればミーヤと名づけん春の暮
  足に猫ふるるやぬるき春炬燵
  桜のしべ降る猫は寝てゐる
  飼ひ主の猫に似てくる四月馬鹿
  酔ひしれて猫と雑魚寝の春炬燵
  半夏生父の厭ひし猫を飼ふ
  河童忌や猫は胡瓜を好まざる
  まぼろしの鱶猫とゐる夏座敷


 あと半分は、次回に。