綴じ込みページ 猫-11
句会のお仲間の柚さんからメールが届きました。
「飛行船さま
まったく順調なすべりだし。何の心配もありませんね。
のどをなでさせ、お腹を見せるということは 本当に信頼している証拠だと思います。
良かったですね!!!
猫は、人の言葉が全部わかってますよ。分かってないのは 人間の方です。
またのレポート、楽しみにしてます。
柚」
そこで、すぐに返信しました。もちろん、句会の皆様も含めてです。
「柚様/そろり会の皆様
こんばんは。
あまり先生の授賞式、いい感じでしたね。
で、ミーヤのことです。
ミーヤはあいかわらず夜中じゅう動きまわっています。でも、ぼくの布団にもぐりこんでくるようになりました。
ラバーのくしでからだをすくと、もうご機嫌です。あっちをむいたりこっちをむいたり、快感でたまらないといった風情です。そのうち、感極まって、猫背の背中をぐーっとそらしてからだを伸ばします。くわっとあくびしてから、とつぜんガブリと甘噛みすると同時に、前足で手を押さえこみ、後ろ足の猫キックを見舞ってきます。とうぜん痛いですから、ミーヤに、痛い、といってやります。すると、もの足りなそうな顔つきで、ふん、といった感じですこし離れます。
はじめは、なにか気に入らないことがあったのかとおもいました。しつこいわね、といってるのかと。しかし、もっともっととせがんだのはミーヤのほうです。インターネットで調べると、猫を飼っている人の多くが経験していることのようでした。かわいいけど痛いのはこまる、と書かれていました。やはり、気に入らないのではなくて、遊んでいるつもりのようです。
手足のあちこちに爪のひっかき傷ができました。
朝、会社に出かけるとき、いっしょに外に出てはたいへんなので、隙を見てサッと出てしまいます。そのせいか、きのうもきょうも、帰宅しても知らん顔しています。声をかけても、じっと人の顔を見据えています。ぼくのことを忘れちゃったわけではないよね、とききたいくらいです。着替えてから、きのうは食器棚の上から、きょうは炬燵のなかから、ミーヤを呼び戻しました。じっさい、顔つきまで違って見えます。あごをなで、頭をなで、からだをなでるうちにミーヤの表情が溶け、みゃーと小さい声で鳴きます。それからは、また、あのべたべた猫にもどって、くっついて離れません、
いま、これを書きはじめたら、じっとうしろのタワーで香箱を作って待っていましたが、待ちきれなくなったのか、がばっと膝にきて、のっそりとパソコンの前に立ち、ふん、といって飛び降りました。そして、炬燵のところでしばらく寝ていましたが、とぼとぼとカーテンの向こうに消えていきました。また、寒いところで暗いお外を見つめていじけているのかもしれません。
まだ、4日目の夜なのに、ずっといっしょにいるような気がします。
飛行船」