綴じ込みページ 猫-162

 でもって、変哲小沢昭一巨匠の最初の句。昭和四十四年一月。


    スナックに煮凝のあるママの過去
    水仙に猫がじゃれてる2DK
    空風や鮒佐本日休みにて
    寒月や地下鉄工事秋田辯
    ゲバ棒の落ち目の春のにが笑ひ
    通夜の音の越後なまりや雪女郎


 そして、最後の句。平成二十四年七月。


    悪妻といわれる女のサングラス  (女:ひと)
    どうしても悪漢の面サングラス
    大部屋も長く日傘の似合ふ女
    夕立のあとの横町深呼吸
    オイそこはガラスじゃないか夏の蝶


 どことなく、ほら、いて丁さんと相通ずるところがあるようなないような。