号外 定年プラスワン-2

 某日、銀座の天廚菜館で食事会があった。古矢元顧問の傘寿のお祝いと社員の慰労を兼ねて、山城社長がポケットマネーでご馳走してくれたのである。古矢元顧問は相変らずエネルギーのかたまりのようであり、夫人はチャーミングだった。


 会の終わりに、まず、今年定年を迎えた営業部の加藤さんが立って挨拶した。加藤さんも引き続き嘱託として勤務している。つぎに、ぼくの番になったが、こういうとき、ぼくは突然感情のバランスが崩れることがあるので、用心しなくてはいけない。で、簡単にすませた。


「七年間、有難うございました。くわしくは、社報で。これからもよろしくお願いいたします」


 なーんだ、という雰囲気が会場に流れたが、ま、性格だから仕方がない。そのかわり、(発表しなかったけれど)古矢ご夫妻を詠んで一句つくったから、ここでご披露しよう。


    秋雨の降るや傘寿のをしどりに 飛行船