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 岩波書店版「石川淳選集」第十四巻に「五十音図について」という文章が収録されている。もちろん、本文は正字正仮名である。
 冒頭に、本居宣長の「うひ山ふみ(ソ)」が掲げてある。


 五十音のとりさばき云々。これはいはゆる仮字反シの法、音の竪横の通用の事、言の延べつづめの例などにつきて、古語を解キ明るむに、要用のこと也。かならずはじめより心がくべし。仮字づかひは、古へのをいふ。近世風の歌よみのかなづかひは、中昔よりの事にて、古書にあはず。」(註:「歌」は、右のつくり欠のない字)


 初出一覧を見ると、この「五十音図について」は、昭和三五年二月五日「古典日本文学全集」34「本居宣長集」の付録として掲載されたことがわかる。発行は、筑摩書房である。
(つづく)