綴じ込みページ 猫-244

 ミーヤがぼくのところにくることが決まってから、一夜漬けの勉強がはじまった。一夜漬けは、高校生の頃から得意である。切羽詰まると神経が研ぎ澄まされて、無駄なことが的確に判断できるようになる。無理なく、無駄なく、必要なことだけ選択するわけである。


 まず、食事をどうするか。これは、ちょっと調べれば、答えはゴマンとある。そのなかからなにを選ぶかは、飼い主の好みとセンスである。
 猫は、食物によっては歯槽膿漏になりやすい。だったら、なるべく歯にくっつかない餌がよろしい。ポリポリとかカリカリといわれる固形の食品ならば、調理されたベチャベチャしている缶詰なんかよりはくっつきにくそうではないか。そう考えて、ロイヤルカナンのドライにした。ロイヤルカナンを選んだのは、これはもう直感である。


 猫は高いところを好むので、室内で買う場合、タワーが必要である。けっこう場所をとるが、ぼくはもう一人暮らしで広いスペースはいらないから、一階の六畳の和室に置くことにした。すでに和室には片袖机とテレビ台兼用の本棚が入っていたが、布団さえ敷ければいいことにして、組み立ててしまった。


 困ったのは、炬燵の場所がなくなったことで、思案のあげく、布団と合体させることにした。すなわち、敷布団を敷き、炬燵をその上に(やや足のほうに)据えて、掛け布団をかける。そして、掛け布団の上に貰い物のユニクロのフリースをひろげると、ミーヤの寝床ができた。寒くなると、ミーヤは炬燵のなかにもぐりこんできた。
(つづく)