2017-11-05から1日間の記事一覧

大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P86

まだ誰のものでもあらぬ箱の桃 二十三歳の私の悩みは、交通事故のときに何針も縫った顔の傷跡だった。瞼、眉間、左の頰の傷跡の、紅く桃の断面のような生々しさ。母は私のことを「桃姫」と呼び癒えない傷なんてない! と励ましてくれた。が、何処に行っても…