綴じ込みページ 猫-125

長靴をはいた猫」のあらすじは、次のようなものである。


 あるところに粉引き職人と三人の息子がいた。父親がなくなって、長男には粉引き小屋が、次男にはロバが、そして三男には猫が遺産として分与された。
 三男は嘆いた。「猫なんか貰ったって、なんの足しにもなりやしない。食ってしまったらなにも残らない」
 猫はそれをきいて、「いいえ、ご主人様。わたしに長靴と大きな袋をください。きっと、わるいようにはいたしません」。そこで三男は、猫に長靴と大きな袋を与えた。
 猫は、その袋でウサギを捕まえると、お城の王様のところへ行って、カラバ侯爵からの贈り物です、といって献上した。それを何回か繰返して王様と親しくなると、ある日、三男に川で水浴びをするようにすすめた。
 三男が水浴びしているところへ、王様と娘のお姫様がさしかかると、猫が飛び出してきて王様に嘘をつく。「たいへんです。カラバ侯爵が水浴びをしていたら、泥棒が持ち物を奪ってしまいました」
 ここで猫は、王様と「カラバ侯爵」を引き合わせて、王様とお姫様をカラバ侯爵のお城に招待することにした。
 先導する道々、畑仕事をするお百姓を見つけると、とんでいって、「この土地はだれのものかときかれたら、カラバ侯爵の土地だといわないと、こまぎれにされちゃうよ」とおどかした。実際はオーガ(魔物)の土地だったが、こまぎれは困るので、お百姓はいわれたとおりにすることにした。
 それで、王様の一行が通りがかりに、「ここはだれの土地かな」とお百姓にたずねると、「へい、カラバ侯爵様の土地で」と答えた。猫は、お百姓を見つけるたびに同じことをいったから、質問した王様は、カラバ侯爵の土地の広さにひどく感心した。
 案内する先の立派なお城は、じつはオーガの城で、さきまわりした猫は、オーガを口車にのせてネズミに変身させる。魔物でもネズミになってしまえば怖くない。猫はぱくっと食べてしまった。
 王様の一行と三男が到着すると、ここがカラバ侯爵の居城と知って、王様はいたく感動される。お姫様も、もともと育ちのわるくない三男のことが、好きになる。そのことに気づくと、王様は、三男に娘の婿になってくれ、と頼む。「カラバ侯爵」はその申し出を受け入れて、二人はその日のうちに結婚し、猫も貴族となって、ネズミは趣味で獲るだけになった。


 で、長靴の話になる。
(つづく)