大木あまり詩画集「風を聴く木」『3-昼顔』

 昼顔


愛も
言葉さえも拒み
太陽に抱かれる
昼顔。
抱かれながら
荒野の夢を見る。
滅びるときを
待つ そのけだるい顔。


有刺鉄線に
巻きつきながら
風と交わる
昼顔。


交わりながら
放浪の夢を見る。


肉欲も
快楽もなく
滅びるときを
待つ そのさびしい顔。


追憶もなく
幻想も抱かず
雨にうたれ
滅びるときを
待つ 漏斗状の
その美しい


魔の形象         (かたち)