大木あまり「シリーズ自句自解1 ベスト100」P72

 遠雷や人を待たして人待たず


 老母や猫の世話をしていて、待ち合せの時間にたびたび遅れることがあった。遅刻するだけでも迷惑なのに、吟行の最中に野良猫と遊んだり気儘な行動をするので、俳句仲間はたまったものではない。それでいて、待つとなると三十分がリミット。遠くで雷鳴がしたら、雷好きの私はじっとしていられない。駅の伝言板に「雷が呼んでいるのでお先に行きます。では、句会場で!」と書いて俳人諸氏を当惑させるのだった。 (『火のいろに』)