小話のような話

 赤坂の料亭の女将さんが、青山斎場の向かいの土地に家を建てました。都心であっても閑静な場所で、なるほど穴場といえるかもしれません。
 優秀な建築家にまかせた家は、超現代的で、屋根がガラス張りで、寝ながら星が見えました。
「え? 料亭がガラス張りなんですか?」
 釜本次長がききました。
「ばかねえ」
 女将さんは、軽蔑したように次長を見て、いいました。
「それじやあ、政治家のかたたちが、困るじゃないの」