ありがとう、神様

 グリーンジャンボ宝くじのシーズンに、 花器沼先生が店にやってきて、椅子に腰かけると、短い足をブラブラさせた。そして、ぼくに、
「あんた、ジャンボ宝くじ買った?」
 と、茨城弁できいた。
「ええ、10枚ばかり、近藤書店のとなりで」
「当たんないほうがいいな、きみの場合」(イントネーションがむずかしいけど、茨城弁)
「ひどいなー、先生!」
「なにいってんのー。心配してやってんじゃないのー。あんたなんか、おれと違って、大きな金額に免疫がないから、1億円当たったら、すぐ死んじゃうよー」(くどいけど、茨城弁)
 いまだに1億円は当たらない。けれど、これってだれかに守られているのかな、とおもうことがある(「ありがとう、神様」)。