ルナアルの「博物誌」だったかに、
「蛇。長すぎる」
とあった。
そのひそみにならうと、さしずめ舶来品(この言葉はすでに死語。昭和50年代には、それでも、まだ、普通に使われていた。いまは、輸入品もしくは外国製品)のネクタイは、
「ネクタイ。長すぎる」
といわざるをえない。
なんたって、ぼくみたいにセミウインザーノットで結ぶと、先が上着の下まで出てしまうのだから。
「そりゃあ、おまえが痩せっぽちだからだよ」
と、友人の甘木がいった。
「おれなんか、首が太いから、へそまでしかこないんだぜ。まあ、命短し、たすきに長し、っていうからな。大した問題じゃないよ」