ハンドバッグ 7

 ドアをあけて飛びこんできた年輩の女性が、そばにいた砂糖部長にいった。
「グッチのバッグ、ちょうだい」
 砂糖部長が答えた。
「奥様、グッチはお隣です」
「ここでは扱ってないの? 気がきかないわね」
 年輩の女性が、店内に一瞥をくれから出て行くと、砂糖部長がふり返った。
 不条理を煮染めたような顔だった。