番外編2 除夜の鐘

『ぼくが入社した時分は、年末は31日の夕方6時ごろまで営業していた(昭和52年当時のことです)。』と、2006年の年末に書いたことがある(2006-12-24「おおみそかの思い出」参照)。同じ章に、次のようなくだりがある。
『夕方、鎌倉の会長(先代の未亡人で名誉会長)が八幡様のお札を持ってやってくる。神棚はきれいに掃除してお水もとりかえてある。はしごをかけて昇ると、火打石をおろして、お札にカチカチやってもらって、古いのと交換する。古いのは鎌倉の会長が持って帰って、八幡様に返納する。「むかしはねえ、タカシマさん、表に提灯ぶるさげて、大晦日の晩の12時ころまでお店をあけてたもんなんだよ、どこのうちでも。すると、どこかの除夜の鐘がきこえてきてさ。新年の挨拶をして、おとそを飲んで、それから家に帰ったものだよ」。』
 ぼくはずっと、除夜の鐘というのは去年から撞きはじめて、そのまま今年になっても撞きつづけて合計百八つ撞くものだとおもっていた。ところが、そうではないのだそうである。旧年のうちに百七回撞いておき、年が明けてから残りの一つを撞くということが最近わかった(テレビのクイズ番組も、たまには役立つ)。あのとき知っていれば、鎌倉の会長に教えてあげられたのになあ。

 煩悩を一つ残して年を越し  飛行船

(あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。次回からもとのテーマに戻ります)